blueberry house

私と彼とブルーベリーハウス

私と彼とブルーベリーハウス

 

「わあ!ここいいね!」

私はそう言うとなにもない部屋の真ん中でぐるりと回った。

「ほら、ここにテレビ置いて、ベッドはこっちかな?」

新しい部屋というものは、新しい生活を想像させてワクワクしてしまうものだ。

はしゃぐ私を無視して、彼は真剣に間取りを測り始める。

 

「うん。ここにしようかな」

しばらく見た後、彼はそう言い窓を開けて微笑んだ。

決して眺めは良くない。

一階だし。

それでも彼の目は綺麗な景色でも見ているかのように輝いていたような気がする。

ほらね、本当はワクワクしてるんでしょ、私みたいに。と、少しふふっとなる。

ここに決まりだね。

 

「えーっと、なんだっけこの物件の名前。確か、ラベンダーハイツとか、ハウスとか・・・」

 

彼が不動産屋さんでもらった紙を確認して言った。

「ブルーベリーハウスだって」

 

 

 

惜しかった。